今回も前回に続いて腰痛についてのお話です。現在はストレス社会とも言われる程、どんなに健康な人でも、仕事、家庭、学校などで大なり小なりストレスを感じることがあるかと思います。
実は腰痛も心理的ストレスによる影響が強いと言われております。ある実験では、同じ重量物を持ち上げる際に、何も考えずの持ち上げるのと簡単な計算をしながら持ち上げるのとで比較すると、腰への負担が後者の方が5%大きかったという結果が出ました。簡単な計算というストレスだけでも腰への負担は強くなるのです。
そして、ここからは少し専門的な話ですので、興味があれば・・
腰痛ガイドライン2019によると、
・うつや恐怖回避思考、保障の問題、心理的苦痛、受動的コーピング(ストレスへの対応)などが急性腰痛か
ら非特異的慢性腰痛へ移行する因子である。
・非特異的腰痛には恐怖回避思考や破局的思考が経過予後不良因子である。
(恐怖回避思考:痛みに対する恐怖、不安から過剰に身体活動を制限すること。
破局的思考:痛みの経験をネガティブに捉える傾向。反復、拡大視、救いのなさの3要素)
と記載されています。
要するに、腰痛を深く考えすぎず、動ける範囲で動こう!(超急性期を除いて)ということです。
患者様に知っていただきたいこととしては3点になります。
①痛みを恐れて安静にしすぎると腰痛が治りにくくなる。
②不安が脳の痛み抑制機能を低下させる。
③自分で痛みと相談しながら動いた方が良い。
ストレスを0にすることは困難ですが、日々あまり悩みすぎず、少し気楽に捉えても良いのかもしれません。
ただし心理的ストレスはあくまで一つの要素ですので、腰痛でお悩みの際は、一度整形外科にご相談ください。
神戸市中央区:元町、大倉山の整形外科 小沢医院 南 弘樹
Fear-avoidance FA 恐怖回避思考は左の図のように悪循環を生じます。
(あまり不安を感じる方はFAウイルスに感染していると言えます。もちろん、実際にそのようなウイルスはありません。)
正しい情報、知識、治療で健康に痛みと向き合い、治していきましょう。